14章Ftrace
FtraceはLinuxの公式トレーサーであり、さまざまなトレーシングユーティリティから構成される多機能ツールである。スティーブン・ロステットが作り、Linux 2.6.27(2008年)で初めて追加された。Ftraceはユーザーレベルフロントエンドなしで使えるため、記憶スペースが限られている組み込みシステムのLinux環境に特に適しているが、サーバー環境でも役に立つ。
この章と「13章 perf」、「15章 BPF」は、ひとつ以上のシステムトレーサーを深く学びたいと思う読者のためのオプションの章である。
Ftraceは、次のような疑問に答えられる。
- ある特定のカーネル関数がどの程度の頻度で呼び出されているか。
- どのようなコードパスでこの関数が呼び出されたか。
- このカーネル関数が呼び出す子関数は何か。
- プリエンプション無効コードパスによるレイテンシがもっとも高くなったのはどこか。
以下の各節は、Ftraceの紹介、Ftraceのプロファイラとトレーサーの一部の紹介、それらのツールを使うフロントエンドの紹介という形で組み立てられている。節の構成を示そう。
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