2章サービスレベルマネジメント
サービスがあるべき運用レベルを見定めること。これがサービスの設計、ビルド、デプロイにあたって最初にすべきことです。この章では、サービスレベルマネジメントとその構成要素について説明していきます。サービスが必要とする運用レベルは、どのように定義したらよいのでしょうか。そしてその運用レベルを満たしているかどうかを、どのように測定および監視すればよいのでしょうか。本章を通じて、サービスレベルが必要とするそれぞれの項目と成り立ちについて学んでいきます。
2.1 SLOの必要性
どのようなサービスを設計し構築するにしても、そのサービスがどういった環境で運用されるのかについて、一通りの仕様を定めなければなりません。しばしばこれはSLA(サービスレベルアグリメント)と呼ばれます。SLAとは、サービスに関する仕様を書き連ねたものではなく、サービスの改善案や影響、その他あらゆる面について網羅しているものです。SLAの詳細について語ることは本書の目的から外れるので、ここではSLO(サービスレベル目標)について焦点を当てていきます。SLOとは、設計および運用に関して遵守すべきことがらをまとめたものです。
サービスレベルマネジメントとは何かを理解することは難しいものです。本章を通じて説明をしていきますが、なかなか一言で表現することはできません。大事なことは微妙なニュアンスを理解することです。まずはなぜサービスレベルマネジメントを理解するのが難しいのかを、以下の例を用いて見ていきましょう。
- SLOとして、APIがリクエストを正常に処理したパーセンテージを記載するとした場合、その情報取得元はどこにすべきでしょうか? API自身? そうするとAPIの前面で機能しているロードバランサが落ちている場合はどうしますか? ...
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