2章監視のデザインパターン
1章では、よかれと思ったことが大惨事を引き起こす原因になりうることについて述べました。この章を読み始める時点で1章で挙げた問題をすべて解決したとは期待していませんし、それで問題ありません。アンチパターンに気づき、その解決に取り組めるようになったので、次は新しい解決策が必要になるはずです。
この章では、真剣に受け止めて実装すれば、監視の最高の境地に達することができるデザインパターンを示し、疑問に答えていきます。
2.1 デザインパターン1:組み合わせ可能な監視
モダンな監視デザインの最初のパターンは、組み合わせ可能な監視(composable monitoring)です。その原理は簡単です。専門化されたツールを複数使い、それらを疎に結合させて、監視「プラットフォーム」を作ることです。このパターンは、多くの人が馴染みがあるであろうモノリシックなツール、代表的なもので言えばNagiosのようなツールとは対照的です。組み合わせ可能な監視は、Unix哲学を実践的にした考え方とも言えます。
1つのことを行い、またそれをうまくやるプログラムを書け。協調して動くプログラムを書け。
――Doug McIlroy
2011年、監視がいかにひどいかについての話が、#monitoringsucksというハッシュタグを使ってTwitter上で巻き起こりました。これは、#monitoringloveというハッシュタグに変わり、ボストンでMonitoramaというカンファレンスが行われるまでになりました。改善のためには何をするべきかについて、たくさんの会話がなされました。そこで挙げられた議題で最も大きなものは、新しいより良いツールが必要だということでした。より専門化したツールです。その中から組み合わせ可能な監視というアイディアが生まれ、実践の中でデファクトスタンダードになってきたのです。Graphite、Sensu、logstash、collectdといったツールが広く使われるようになり、専門化したツールを一緒に組み合わせることで、より柔軟性があり、問題の少ない監視スタックが作れることが明らかになりました。Librato、Loggly、Pingdomといった商用サービスも、どのように監視するかを制御し管理する豊富なAPIを備えています。 ...
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