データ保護完全ガイド ―あらゆるデータの保全と回復を可能にする

2章

SLAを決めるまでにすべきこと

	この章はJeff Rochlinによって書かれた。彼は長年にわたってアメリカ国防総省（DOD）のための仕事をする企業で働き、構成管理と彼らが呼ぶものに関連した国防省標準480B（MIL-STD-480B）に厳格に従っていた。私がJeffに最初に会ったのは20年以上昔になるが、その会社のコンサルタントをしていたときだ。私はそこでJeffと一緒に働き、この章を書くのにふさわしいのは彼以外にいないと思うほど、変更管理について多くのことを学んだ。

　この章の目的は、データ保護システムを構築または拡張するプロセスにおける、ビジネスおよび（社内の）政治的側面について説明することである。同じく重要なのは、優れた技術的ソリューションを設計するには、そのソリューションから利益を受ける人からも、それにお金を出す人からも同意を得ることだ。データ保護システムの設計または改善についての技術的側面のさらに詳しい解説は、16章を参照してもらいたい。

　データ保護は、ITにおいて決して華やかな分野ではない。データ保護と聞いて思い浮かぶのは、もっぱら企業が様々なリスクに対して脆弱だということで、ITのコアコンピテンシーとはあまり関係がない。導入しなければならないリソースは高価であり、ほとんどの場合、顧客に売る最終製品には出てこないものだ。あなたは、誰も心の底では買いたくないと思っている保険を売っているようなものだ。これは簡単なことではないだろう。しかし、データ保護計画が、あらゆる企業（会社、団体、等々）において行う投資の中で最も重要なものになるだろう、という真実は動かしようがない。 ...