5章トイルの撲滅
執筆:Vivek Rau
編集:Betsy Beyer
通常運用中のシステムに人手が必要なら、それはバグだ。
通常の定義は、システムの成長と共に変化する。
——Carla Geisser、Google SRE
SREは、運用作業よりも、長期間にわたるエンジニアリングプロジェクトの作業に時間を使おうとします。運用作業という言葉は誤解を招きかねないので、私たちはトイルという言葉を使います。
5.1 トイルの定義
トイルは、単なる「やりたくない仕事」ではありません。それは、管理上の雑務や、汚れ仕事と単純に言い換えられるものでもありません。どういった種類の仕事をすれば満足感を得ながら楽しく仕事ができるのかは、人によって異なります。手作業の繰り返し業務を好む人さえいるのです。また、行わなければならない管理上の雑務もありますが、これはトイルに分類されるべきではありません。それはオーバーヘッドです。オーバーヘッドは、プロダクションサービスの稼働に直接結びつかない仕事であることがしばしばあり、チームミーティング、ゴールの設定と評価†1、スニペット†2、人事の事務作業などが含まれます。つまらない仕事には、長期的な価値があることもあります。そうであれば、それもトイルではありません。サービスのアラートの設定全体をクリーンアップしてゴミを取り除くことは、つまらないかもしれませんが、トイルではありません。
それでは、トイルとは何でしょうか。トイルとは、プロダクションサービスを動作させることに関係する作業で、手作業で繰り返し行われ、自動化することが可能であり、戦術的で長期的な価値を持たず、作業量がサービスの成長に比例するといった傾向を持つものです。トイルと見なされるすべてのタスクが、必ずしもこれらの性格をすべて備えているわけではありませんが、以下の説明の1つ以上に当てはまるような仕事であれば、その仕事のトイルの度合いは高いと言えるでしょう。 ...
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