14章ビュー
うまく設計されたアプリケーションには、一般に、次のような特徴があります。このようなアプリケーションは、実装の詳細を明かすことなくパブリックインターフェイスを提供することで、アプリケーションの設計が将来変更されてもエンドユーザーに影響がおよばないようにします。データベースを設計するときにも、同じようなことを実現できます。テーブルを非公開にし、一連のビュー(view)を通じてのみユーザーがデータにアクセスできるようにするのです。本章では、ビューとは何か、ビューをどのように作成するか、ビューをいつどのように利用するかについて説明します。
14.1 ビューとは何か
ビューとは、言ってしまえば、データを取得するメカニズムのことです。テーブルとは異なり、ビューはデータストレージを持ちません。このため、ディスク領域がビューで埋まってしまう心配はありません。ビューを作成するには、クエリ(select
文)に名前を付け、このクエリを格納して他のユーザーが使えるようにします。他のユーザーはあなたのビューを使って、テーブルで直接クエリを実行するときと同じようにデータにアクセスできます(それどころか、そもそもビューを使っていることに気付かないかもしれません)。
簡単な例として、customer
テーブルの電子メールアドレスを部分的に見えなくしたいとしましょう。たとえば、マーケティング部門は広報活動のためにメールアドレスにアクセスしなければならないことがありますが、それ以外は、会社の個人情報保護の規定に従い、このデータは機密扱いとなっています。そこで、customer
テーブルに直接アクセスさせる代わりに、customer_vw
というビューを定義します。そして、顧客データにアクセスしたい場合はこのビューを使うことをマーケティング部門以外のスタッフ全員に義務付けます。このビューの定義は次のようになります。 ...
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