7章生産性向上に投資する
テック企業がとても得意なことの一つが「速く進めるようにすること」、つまり生産性向上への投資だ。エンタープライズ企業だったら馬鹿馬鹿しくなるほど苦労すること(生産性向上や開発基盤への投資)が、テック企業ではやすやすと実現されている。
この章では、テック企業では具体的にどんな投資がされているのか、なぜそんなにも速く動けるのかを見ていこう。
7.1 プロダクティビティスクワッドを編成する
「プロダクティビティスクワッド」は、他のエンジニアリングチームを速く進めるようにすることをミッションとしたチームだ。
ちょっと考えてみてほしい。あなたの会社に、プロダクトのリリースや開発を担当するメンバーの日々の仕事を楽にすることだけを目的としたチームはいるだろうか。テック企業にはそんなチームが何チームもいる。
それがプロダクティビティスクワッドとか開発基盤スクワッドと呼ばれるチームの仕事だ。彼らは他のチームを支援する。たとえば、こんな風に。
- ビルドの自動化
- 継続的インテグレーションの基盤整備
- A/Bテスティングフレームワークの構築
- 本番環境へのデプロイメント/監視ツールの作成
- 自動テスティングフレームワークの構築
- 新機能を簡単に追加できる基盤の用意
- トレーニングセッションの開催
- データの変換や移行
- イテレーションと学習速度の向上
いま挙げたのは、エンタープライズ企業の開発チームでも「これがあれば10倍速く仕事が進むのに」と思えるものばかりだ。しかし、彼らにはそうする余地はまったく与えられてなさそうにみえる。テック企業は生産性向上に抜け目なく投資することで、新しいソフトウェアはやすやすとデプロイできるし、本番環境では何が起きているのかも一目瞭然になっている。その結果として、新規プロダクトや新機能を苦もなくどんどんリリースできるようになっている。 ...
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