1章ロバストPython入門

本書はPythonコードをより管理しやすくする手法を扱う。コードベースが成長するにつれて、保守性の高いコードを構築する戦略やヒント、テクニックを集めた道具箱が必要になる。本書はバグを削減して快適に仕事を進めるためのガイドブックだ。コードをどのように書いているのかを厳しく観察し、自己の決断がもたらす意味を理解できるようになる。

コードの書き方について議論する際に必ず思い出すアントニー・ホーアの言葉がある。

ソフトウェアデザインには2つの方法がある。1つは、明らかに欠陥がないように単純にする方法、もう1つは、明らかな欠陥がないように複雑にする方法である。前者のほうがはるかに難しい。†1

[†1] Charles Antony Richard Hoare. “The Emperor’s Old Clothes.” Commun.ACM 24, 2 (Feb. 1981), 75-83. https://doi.org/10.1145/358549.358561

本書は、前者の方法でシステムを開発する本だ。確かに難しいが、恐れることはない。アントニー・ホーアが言う明らかに欠陥がないコードが書けるようになるまで、あなたのPythonの実力を向上させる。私がそのための案内を務める。要するに、本書はロバスト(頑丈/頑健/堅牢)なPythonを書くための本である。

この章では、ロバストとは何か、なぜそれを気にする必要があるのかについて説明する。コミュニケーションの手段には長所と短所があること、どのようにすれば自分の意図をうまく表現できるのかを学ぶ。「The Zen of Python」(https://peps.python.org/pep-0020/)曰く、コードを書く際は「自明な方法が必ずあるはずであり、それを1つに絞れればなおよい」。コードが明白な方法で書かれているかどうかを評価する方法と、修正するために何ができるかを学ぶ。最初は基本的なことから始めよう。そもそも ...

Get ロバストPython ―クリーンで保守しやすいコードを書く now with the O’Reilly learning platform.

O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.