10章Job
ここまでは、データベースやWebアプリケーションといった、長期間動き続けるプロセスに焦点を当てて見てきました。こういったワークロードは、アップグレードするか不要になるその時点まで動き続けます。Kubernetesクラスタ上のワークロードの多くは、こういった長期間動き続けるプロセスですが、1回限りの短い時間しか動かさない処理もあります。Job
オブジェクトは、そのような短時間だけ動かすタスクを扱うものです。
通常のPodは戻り値に関係なく動き続けますが、Jobは、処理が正常終了する(戻り値0での終了など)まで動くPodを作成します。Jobは、データベースマイグレーションやバッチ処理など、1度しか動かさない処理を実行するのに便利です。1度限りの処理に通常のPodを使うと、データベースマイグレーションタスクがループし、データベースに同じ処理を何度も行うことになってしまいます。
この章では、Kubernetesで実行できる一般的なJobのパターンを見ていきます。また、それらのパターンを実際のシナリオに当てはめて考えます。
10.1 Jobオブジェクト
Job
オブジェクトは、Jobの設定に書かれたテンプレートで定義されたPodの作成や管理を行います。これらのPodは、処理が成功するまで動き続けます。Job
オブジェクトは、複数のPodを並列に動かすための調整も行います。
処理が完了する前に失敗した場合、JobコントローラはJobの設定内のPodテンプレートを元に、新しいPodを作成します。Podは必ずどこかのノードに割り当てられる必要があるので、必要なリソースをスケジューラが見つけられない場合、すぐにJobが実行されない可能性もあります。また、分散システムの性質上、障害の発生時には、同じタスクを実行するPodが複数作られることもあり得ます。 ...
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