2章デザイン思考の基礎

どんなソフトウェアシステムであっても、取り組み始めた段階でアーキテクチャが定まっていることはない。アーキテクチャとは発見すべきものだ。白紙の状態から始めるか、既存システムの構造を明らかにする必要があるかにかかわらず、私たちが必要とするアーキテクチャは、どこかその辺で私たちに発見されるのを待っている。ソフトウェアシステムのアーキテクチャを設計するために、私たちは解決策を探求する。そして、それと同時に、解決すべき問題を明らかにするという活動も行なっている。

このやりがいのある仕事に役立てるために、デザイン思考と呼ばれる手法について学ぼう。デザイン思考とは、問題解決のための創造的かつ分析的なアプローチで、人間に注目する手法だ。設計判断によって影響を受ける人々に注目することで、私たちは解決すべき本質的な問題に集中できるようになる。また、人々の役に立つソフトウェアを構築するという目的を常に考え続けることは、解決策を探求するための基礎となる。

この章では、ソフトウェアアーキテクチャにデザイン思考を適用する方法を学んでいく。デザイン思考の基本原則を学ぶことから始め、次に、さまざまなデザインマインドセットを使い、アーキテクチャを(およそ)正しい方向へ進めていく方法を学んでいく。そして、最後にデザインマインドセットを選ぶためのアプローチを学んでいく。

2.1 デザイン思考の4つの原則

デザイン思考は、プロセスというよりは、影響を受ける人々の視点から問題や解決策について考えるための方法だ。ただし、プロセスではないといっても、デザイン活動を導くルールは存在している。Christoph MeinelとLarry Leiferは、「Design Thinking : Understand ...

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