ステップ1正規分布

本書の最初のテーマは「正規分布(ガウス分布)」です。正規分布は、統計学の分野において最も重要な確率分布であり、自然や社会の様々な現象でしばしば観測されます。本書でも正規分布は頻繁に登場します。本ステップでは、正規分布について数式とコードの両面から学びます。正規分布についてすでに理解がある方は、このステップを読み飛ばしてもかまいません。それでは始めましょう。

1.1 確率の基礎

世の中には不確かなことが多く存在します。何が起こるかを完全に予測するのは難しく、「必ずこうなる」と断言できることは多くありません。こうした不確かさに立ち向かうために、私たちは確率を使います。ここでは確率の基礎について復習します。

1.1.1 確率変数と確率分布

確率変数は、取り得る値が確率的に決まる変数です。たとえば、1から6の目があるサイコロを考えてみましょう。サイコロを振って出る目は、実際に振ってみるまでわかりません。しかし、それが確率的に決まると考えることで、その不確実性を定量的に記述できます。ここでは、サイコロの目を確率変数xで表します。そして、ある目が出る確率をp(x)で表します。たとえば、サイコロの目での出る確率はと表記します。

確率分布は、起こり得るすべての値に対して、その確率が示されたものです。サイコロの例では ...

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