1章分析的思考とAIドリブン企業
この原稿を執筆している2020年4月現在、世界は新型コロナウィルスSARS-CoV-2による感染症(COVID-19)のために深刻なパンデミックに見舞われており、全世界で確認された患者数は数百万、死者は数十万に及んでいる†1。ネットで「coronavirus AI」を検索すれば、AIがこのパンデミックとの戦いで果たせる役割にスポットライトを当てる一流のメディアや研究機関による論文や記事が見つかるだろう(図1-1)。
[†1] [訳注]2021年3月中旬の翻訳時におけるGoogleの情報では、感染者数1,19億人、死亡者数263万人。
このような論文、記事の見出しを見ると、むずがゆい気分になる人が多いだろう。それは、今日のAIができることの限界と比べて、AIがやけにスーパーヒーローっぽく扱われているからだ。今やそういう扱いがかなり当たり前のようになってきている。
1.1 AIとは何か
“AI”(人工知能)という言葉に対する理解に基づいて世界中の人々を分類すると、私は次の4タイプになると考えている。
極端には、そんな言葉は聞いたことがないという人々がいる。もっとも、AIは今や民間伝承の1つとして広く知られ、映画、TV番組、本、雑誌、トークショーなどでもよく取り上げられるテーマになっているので、このグループに属する人はかなり少ないのではないかと思う。
ほとんどの人々は、実務者たちが汎用人工知能(AGI)とか人間並みの知能と呼んでいるものをAIだと思っている第2のグループに属する。彼らから見ると、AIは人間と同じ仕事をこなし、意思決定できる人間そっくりの機械である。メディアはほとんど毎日のようにAIが私たちの暮らしをどのように変えているかというテーマを取り上げており、彼らにとって、AIはもうSF小説世界の虚構ではなくなっている。 ...
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