組織を変える5つの対話 ―対話を通じてアジャイルな組織文化を創る

1章ソフトウェア工場からの脱却

『The Digital Helix: Transforming Your Organization's DNA to Thrive in the Digital Age』の著者であるマイケル・ゲイルによると、DXの84%は失敗しています^[6]。ゲイルは残りの16％が成功した理由を調査し、成功の秘訣にたどり着きました。それは「交流の仕方、協力の仕方、働き方に関する考え方に関する根本的な転換」であり、「時間を割いて、行動、組織文化、意思決定を変えなければ、すべて台無しになってしまう」のです^[7]。

この根本的な転換を図るには、最も人間的な能力となる「対話」に目を向けることです。人間には、他に類を見ないほどパワフルで柔軟な言語があります。それを最大限に活用するためには対話のスキルを身につける必要があります。また、協業と交流を妨げるような生来のバイアスも克服しなければなりません。対話を変えれば、組織文化も変わるのです。

自分たちがどう変わるべきかを理解するために、自分たちが育った文化を理解しましょう。本章で述べるように、私たちはまだソフトウェア工場という大量生産のパラダイムからまだ脱却しきれていません。文書だけに頼るモデルは対話をせずにコミュニケーションを図る試みを象徴しています。ソフトウェア工場モデルが失敗したことにより、アジャイルやリーン、そしてDevOpsのような人間中心の新しいモデルが作り出されました。しかし、これらの新しいモデルを採用しようとする試みは善意であっても、プロセスや方法論に焦点を当てると失敗します。ソフトウェア工場と同じ過ちを小規模で繰り返し、ジョン・カトラーが言うところの「フィーチャー工場」を作り出してしまうのです^[8]。

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