1章イントロダクション
コンピュータのパフォーマンスは、面白く、バラエティに富み、やりがいのある研究分野だ。この章では、システムパフォーマンスという研究分野の内容を簡単に説明する。この章での学習目標は次の通り。
- システムパフォーマンスとその責任を負う職種、作業の内容、難しさ(と面白さ)を理解する。
- 可観測性ツールと実験ツールの違いを理解する。
- 統計量、プロファイリング、フレームグラフ、トレーシング、静的インストルメンテーション、動的インストルメンテーションなどのパフォーマンス観測の基本的な理解を養う。
- メソドロジの役割とLinux 60秒分析チェックリストを学ぶ。
詳しいことがどの章に書かれているかも随時紹介していくので、この章はシステムパフォーマンスと本書自体の両方の道案内になっている。最後の部分は、システムパフォーマンスが実際にどのような意味を持っているかを示すケーススタディになっている。
1.1 システムパフォーマンス
システムパフォーマンス研究は、主要なソフトウェア、ハードウェアコンポーネントをすべて含むコンピューターシステム全体のパフォーマンスを研究する。ストレージデバイスからアプリケーションソフトウェアまで、データパスに含まれるあらゆるものがパフォーマンスに影響を与えるので研究対象に含まれる。分散システムでは、複数のサーバーとアプリケーションが含まれることになる。環境のデータパスを示すダイアグラムがなければ、見つけてくるか自分で作る。ダイアグラムは、コンポーネントの関係を理解したり、全体の構図を見落とさないようにしたりするために役立つ。
システムパフォーマンス研究の目標は、一般にレイテンシと計算コストを下げてエンドユーザーのエクスペリエンスを向上させることである。計算コストは、非効率な部分をなくし、システムのスループットを上げ、全体にチューニングをかければ削減される。 ...
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